オタクの落書き(改)

オタクがぶつぶつ言うだけ

かじりかけの音楽知識で楽曲を語る浅いオタク:CHASE!編

怒涛の投稿頻度。

久々にSpotifyのライブラリいじって曲のデータ拾おうとして、コード進行の情報とか拾えたらいいな~~って思って中身深堀してたんですけど、参照できそうなデータは

  • 0.1~0.5sec 単位での12音の標準化したスペクトル値的なもの(1拍が0.5secくらいの曲での例、幅は不均一)
  • (おそらく)上記のデータを何らかの方法で文字列に落とし込んだ謎のデータ(解析方法不明)

くらいしかなくて、まあプレーヤーと一緒に値の大きい音だけ抜き出して推測したコードを表示する…みたいなことはできなくはなさそうだけど、そこまでするんなら耳鍛えた方がいいんじゃね?みたいになってしまってYouTubeで音楽知識系の動画漁りまくって、時には何か曲流しながらタブレットの鍵盤アプリ叩きながらなるほどね~~~ってやっていた。

そんな中、数年前にバンドブラザーズでCHASE!の耳コピしたよな~と思い出し、A・ZU・NAのライブからしばらく意図的に避けていたこの曲と久々に向き合ってみるのもいいかもしれないと思って、少しだけ進化した音楽知識を照らし合わせてこの曲を聞いてみようと思った中で、(こじつけて)感動したことを、せっかくなので書いてみようと思った次第です。

小学生の頃にちょっとだけピアノ習って以来、動画やネットで数日勉強しただけなので間違ってたり不十分な点はあるかもしれないのでご容赦。

CHASE!のどこが好きなのよ

って言われたら虹1stDay1を見たことがある人なら全部と言うのも察してくれるかもしれないが、そういう文脈とか取っ払って考えた時に好きなのはCメロの「信じる未来をこ『こ』に宿す」のところで聞こえるギターの音なんですよね。音楽に親しみのある人なら半音の感覚があるかもしれないし、そうでなくても結構インパクトある音だと思うんですがどうでしょうか。今回はここの音について掘り下げてみようと思ったのがスタートです。

勉強したけどコードの特定を中心に至らないところはあるので、こういうやつの力を借ります。

https://ja.chordwiki.org/wiki/CHASE%21

調・主音の話

せっかくなので楽譜とか分からんのだがって人にも伝わるようにある程度前提知識を書いてみます。ガバガバだから興味出たら自分で勉強してね。

曲には主音という概念があって、1オクターブ中に含まれる12音の内のどの音を中心に構成しているか、というのが決まっている。メロディによく登場する音とか、鳴らしてみて何となく収まりの良い音がそれになると言われている。ピアノ習ってた時は「大体曲中の最後の音だよ」って教わったのだが、学校で合唱曲の「翼を抱いて」歌った時に終わりがそうなってなくて気持ち悪かった記憶がある。最近だとKing Gnuの「SPECIALZ」のボーカルのメロディだけで見るとそれに該当すると思う。もちろんこういうのは何か意図的があってそうしていると思うので、そういう観点で該当する曲を見てみるのも面白そう。前者なら歌詞通り「駆けてゆく」始まりだから終わらせないようにしてる、とか。後者は呪術廻戦の曲だし気分よく終われる訳がない(雑)

これに加えて、曲が明るい感じならメジャー(長調)、暗い感じならマイナー(短調)という2通りに分けられる。つまり12*2で24種類に分類できるわけですね。ド(ハ、Cとも言う)が主音で明るい感じの曲だと「ハ長調/Cメジャー」、ラ(イ、Aとも言う)が主音で暗い感じなら「イ短調/Aマイナー」って感じ。

あとコード(進行)って何度か言ってますけど、曲を構成する音の組み合わせだと思ってください。ピアノなりギターなりでそれを弾いておくと歌のメロディが乗っかりやすい音の組み合わせ。

コード進行の観点

で、CHASE!に戻ってくるわけなんですが、さすがの僕も鍵盤があればSpotifyに聞くまでもなく調くらいは特定できるつもりなんですが、前述のサイトの表記とも合っているので間違っていないと思う。この曲は、サビと1サビ後の間奏がC#マイナー(ドのシャープの短調)、それ以外がD♭メジャー(レのフラットの長調)という感じです。ちなみにSpotifyの情報は機械的に特定してるので全然違う判断をしていた。一応該当のconfidenceという値が低めだったので自覚はあるらしい。じゃあもっと頑張ってくれ。

問題の『こ』はCメロに登場するのでD♭のターンになる。この場合、

D♭、E♭、F、G♭、A♭、B♭、C

この7音が基本の構成音になる。これは順に、「D♭」において一般的に言うドレミファソラシに該当するイメージでよい。先のサイトの表記だと厳密にはコードの種類を表しているので、この表記と等価ではないが、この音を含んだ音の組み合わせを表してると思ってよい。

Cメロの歌詞が入るところからコード進行に注目すると、

「B♭」m、「A♭」、「G♭」、D♭/「F」...

というように、先ほど構成音として並べた音を逆に辿るように登場することが分かる。実際に聞いてもらうと段々に下がっていくようなギターとベースの音が聞こえると思う。

ところが問題の『こ』のところに注目すると、順番通りであれば一周して「C」に該当するべきところに、基本の構成音にない「C♭」と書いてある。これが違和感の正体になる。

その後、

「G♭」、「A♭」、「B♭」m、「D♭」、「E♭」m、D♭/「F」

と、先ほどとは逆に(Cを飛ばし、オクターブ下がった上で)辿っていっている。これはベース(ギターではない)に注目すると分かる。

つまり、下降していくところから「C♭」をきっかけとして上昇へと転換していっていると解釈できる。これ、不安な感情を歌うA・Bメロ、それを乗り越えて進むサビ、って感じで全体の歌詞となんとなくリンクしてないですか?

そしてそのきっかけとなるものが何か。これに対する「アンサー」とは「高鳴る鼓動」「信じる未来」「世界が色づいて光りだす瞬間を君と見たい、その心」なんですよね……(オタク特有の早口)

同主調転調

もう1個別の観点。

この曲は前述の通りサビとそれ以外で主音が変わるわけですが、これがいわゆる「転調」にあたる。なのでまあまあな頻度で転調するわけですが、この辺は聴いてても何となく雰囲気変わったなという感覚があるかもしれない。

で、C#mとD♭を行き来するって話だったんですけど、このC#とD♭って実は同じ音なんですよね。何言ってんだって思うかもしれないけど、#は「半音高い」、♭は「半音低い」なので、ピアノの鍵盤見てもらうと分かる。CはドのことなのでC#はドの右上の黒鍵。DはレのことなのでD♭はレの左上の黒鍵。同じですね。ドレが分からんって人はそういうもんだと思ってください。

じゃあ実際のところ何が違うのって言うと、メジャーかマイナーかって話。これによって構成する基本の音が変わるのだが、主音自体は同じなんですね。こういうのを「同主調転調」と呼ぶらしい。ググると代表例として米津玄師の「lemon」のCメロのところが出てくる。

これ、「優木せつ菜」および「中川菜々」として捉えたくなりませんかね。両親にすら隠していたもう一つの顔を持ち、それ故の葛藤や苦労を抱えつつも、ステージに立つからにはスクールアイドルとして全力!という彼女を体現する曲としてあまりにもよくできている。

さっきの『こ』の話に戻ってもう一つ。CメロはD♭のターンで

D♭、E♭、F、G♭、A♭、B♭、C

で構成されると話したが、これがC#mのターンだと

C#、D#、E、F#、G#、A、B

となる。ここで、Bの音はCの半音低い音なので、「C♭」とも表すことができる。つまり、あの音はC#m(サビ)における7つ目の音に対応していることになる。これが前述した「Cが来るはずのところにC♭が来る」に該当する。サビへつなげるためのトリガーのような役割とも取れる。こういうのは転調の直前なんかだと結構顕著で、コード進行の理論として確立されている部分らしい。そこまではまだよく分からないけど。

調に関する話をもう一つ。調によって曲の印象とか色を当てはめる話があるらしい。せっかくなので、かの有名な葉加瀬太郎氏のアカデミーのサイトを参考にしてみる。

調の性格を知ろう 〜♭の長調編〜 - 葉加瀬アカデミー

D♭ = 変ニ長調のところを見ると、「活発、華やか」、「薄ピンク色」とある。色の方は歩夢っぽくなっちゃったけど、曲やキャラクターのイメージは合致してると言えそう。

まあC#m = 嬰ハ短調の方は「不気味、悲愴」、「黒っぽい深緑」になってるし、結構サイトによって書いてあること違ったりするからどこまで信用したものかという感じではあるが。

調の性格を知ろう 〜♯の短調編〜 - 葉加瀬アカデミー

まあでもこういうのをキャラとかユニット単位で調べて何らかの傾向がないか見てみるのは面白そうだなと思っている。気が向いたらやるかもしれない。

おしまい

ということで、ちょっと勉強したらこじつけできそうなことが出てきて楽しくなったので書いてみた回です。CHASE!「編」とは書いたけど多分続かない。

調のイメージあたりは、実際にはボーカルの歌唱域を考慮してずらすこともあるだろうし、そこまで意図したものではないかもしれないけど。(A・ZU・NAの曲だったかで大西さんが最初の収録だったせいで1つ高くなったみたいな話を聞いた記憶もある)

もし読んだ人の中で、足りない記載はともかく、明らかに間違ってるだろって気づいた人がいたらこっそり教えてください。